子供のスポーツにアツくなる時代

最近の子供たちは忙しい。

塾に通うのは当たり前、週のほとんどを習い事に費やしている子も珍しくはないようだ。

そんな中でちょっと気になっているのは子供のスポーツ事情だ。

子供たちを取り巻く環境が以前とは変わってきているように感じる。


今は小学生低学年のうちからスポーツをさせる家庭も少なくない。

  • 親がやっていたスポーツを子供にさせたり(野球、柔道などに多くみられる…という偏見を自分は持っている)、
  • 逆に親がやりたかったけど出来なかった事を子供にやらせたり(バレエや水泳など。これも偏見)
  • 子供が興味を示したものをやらせる場合(昔に比べると親のOKが出やすい。少子化で子供一人当たりの教育費の単価が上がっているのだろうか)
など様々なパターンがあるが、昔に比べると暇を持て余している子供たちの姿はあまり見かけなくなったような気がする。


小学生くらいまでのスポーツ経験は身体を動かす感覚を養う事ができ、それは一生ものの財産になるし、勉強するにも遊ぶにも体力はあった方が良いので、小さい頃からスポーツを楽しむのは良い事だ。


ただ、話を聞く限り、親の熱の入り方がちょっとすごいのだ。

毎週末のように練習試合や大会などで子供を県外まで送迎し、試合の時はおそろいのウェアを着て応援団を結成する。ちなみに親のウェアは子供の練習着より高価だとか…
なんと送迎バスの運転の為に大型免許を取ってしまうお父さんもいるらしい。
 
 
自分が部活動をしていた頃は、練習試合なんか年に数回、それも自転車や電車で移動できる範囲内だったし、親の応援も観客席でたまに声をかける程度だった気がする。

あまり親が観客席で熱くなりすぎると「お父さんウザい!もう見に来ないで…」と反感を買う事もあり、家に帰ってからの家庭内不和の原因にもなりかねない。

今は親が試合に行くのはもはや当たり前。むしろ応援に来ないと「○○ちゃんのお父さんはなぜ試合に来ないのか?」と言われてしまう。
 
小学校からスポーツをやってきた家庭と、中学校から本格的にスポーツを始めた子供の親の温度差も問題になっているようだ。
 
ずっと子供のスポーツのサポートをしてきた家庭では当たり前にしてきたことを、中学校の部活で標準にしてしまうと他の家庭の負担になってしまうのだ。

足並みをそろえるのであれば、全員が無理なく出来るレベルに合わせるのが良いと思うのだが、部活の方針等を決める父母会に積極的に参加するのは「アツい親」達で、土日も仕事の親たちは話し合いに参加できるわけもなく、知らないところでルールが決められていく。

「子供が頑張っているのだから、親も助けてあげるのが当たり前!」と言われれば、親も部活に参加せざるを得なくなってしまう。

たしかに、子供がやりたいと思う事は全力で応援してあげたいが、手助けの方法を人それぞれではないだろうか。
天邪鬼な自分はそういったノリを強制されるとなんだか息苦しさを感じてしまう。
 
土日も仕事のお母さんが、子供の練習試合の為にお弁当を作るというのも立派な応援だと思うのだが。。。

今の親は試合会場にテントを設置し、持ち回りで顧問の先生のお茶出しや弁当の世話までするらしい。
 
こどものマネージャー業に留まらず、先生への接待も当たり前なのだ。

その間子供たちは何をしているかと言うと、テントの下で座っておしゃべりをしているだけ・・・

ここまでくるとちょっと違和感を覚える。
  
自分の考えとしては、少年期のスポーツは教育の一環であり、試合の勝ち負けや技術の向上は二の次でいいと思っている。
 
挨拶、掃除、友達付き合い、部活内での上下関係などをスポーツを通して学んでくれればそれでいい。

それに加えて身体を動かす楽しさや勝負の面白さなどを感じてもらえれば儲けものだ。

学校とも家庭とも違う環境で、サポートしてくれる親へ感謝したり、自分たちが使った用具や場所を片づけたり、責任をもって後輩への指導をするなど、当たり前の事を学ぶひとつのきっかけになればいい。

その中で様々な理不尽だったり人間関係で悩むこともあるかもしれないが、部活をやったことで世界が広がったからこそ生まれた悩みだと思えば意味もある。


試合の勝敗に重点を置く親も多いようだが、小中学校での大会の成績なんてその時だけの一瞬の栄光だ。

その後の人生にはほとんど影響を与えないだろう。

しかし、部活動を通して学んだ礼儀作法や思いやりなどは、その子の人格を創る糧になる一生の宝物だ。

大きな声であいさつをする、自分から積極的に動く、周囲への気配りをする、そういった事が大人になってからの長い人生の中で大切になってくる。

そこを学ばずに身の回りの世話を親に任せて試合に勝っても、部活が終わってしまえばその子には何も残らないだろう。


もし試合に出れなくても、自分より練習を頑張ったチームメイトがいる事を認めて、気持ちを切り替えて応援し、次の試合に出られるようにさらに努力すればいい。

もちろん努力が実を結ばないこともあるが、そんなことは大人になってからも山ほどある。

自分の中で気持ちの整理をつけ、腐らずに前を見るという習慣を身に付けてほしい。

聞くところによると、自分の子供を試合に出すように監督にクレームを入れる親も少なくないと言うが、ちょっと信じられない話だ。

成功体験は試合での勝利だけで得られるものではないし、親に与えられるものではない。

そういった親の子供は、学びの機会を奪われているとも言える。

親は子供が自分で築こうとしている世界に干渉してはいけない。

道を踏み外そうとしている時以外は。
   
私の子供はこれからどのように世界を広げていくか分からないが、過干渉せずに見守っていきたい。
 
自分は、他の親が休み返上で子供たちのマネージャー業をしていても、子供に経験を積ませるためにあえて手は貸さない。
部活動は先生と生徒の手の回る範囲で行うべきだ。
 
身の丈に合わない環境でヌクヌクやらせていたら、ハングリー精神なんて皆無!子供たちは勘違いしてしまう。
 
子供が朝早く試合に行く日曜日も、布団の中で健闘を祈ろう。
 
親が子供とは違う世界で楽しんでいる姿を見せる事で、子供に余計なプレッシャーを与えないように努めたいと思う。
 
だから休みの日は家でゴロゴロもするし、自由に遊びにも行っちゃう。そうしたい。
 
 
世のお父さんお母さん、すごいですね。。。俺にはムリだ!