コンスタント金の無心

妻から定期的に聞く話なのだが、妻のいとこ(女)からちょくちょくお金を貸してくれという連絡があるらしい。

もちろん妻に貸すつもりは無く、なぜそいつもお金に困っているのか?何に使うお金なのか?と聞いてみるのだが、理由はしゃべらず、とりあえず貸してくれとの事。

ちなみにいとこは既婚者で共働き。

うちの妻だけでなく、年の近い親戚のあちこちに借金の申し込みメールを送っているらしい。

いとこの借金申し込みは主にメールで、受け取る際も銀行口座に振り込ませるという、特殊詐欺を思わせるスタイル。

「来月にはプチボーナスが入るから、色を付けて返す」というのが決まり文句らしいのだが、面白いのはちゃんと色を付けて返してくれるという点だ。

一度に借りる金額は1~2万円位なもので、貸す方の心理的ハードルが低い金額を狙ってくるのもウマい。

小さな金額をきちんと返すことで信用させ、後々大きな金額を持ち逃げするという手口だろうか?
妻に「いくら必要なのか聞いてみれば」と促すと、「いくらなら貸せる?」との返信。う~ん怪しい。
自分はこういった胡散臭い話につい魅かれてしまう。

宗教や塾の勧誘、セールスの電話などにも、暇があればその気もないのに適当な会話をするのが大好きなのだ。


自分は絶対に引っかからないという変な自信があるのかもしれないし、日常の中のちょっとしたきな臭さを楽しみたいのかもしれない。

思えば、人におごってもらうのに抵抗を感じない「たかり体質」の友人も、なぜか自分には甘えてこなかった。

恐らくたかり体質の人間は、自分を甘やかしてくれる人間かどうかを見分ける能力が生来備わっているのかもしれない。

そんな彼らのカモを判別するセンサーに自分は引っかからないのだろう。

確かに自分は何かお祝い事やイベントが無い限り、意味もなく人におごることはあまりない、いわゆるオゴり下手な人間だ。

相手が負担を感じることなくサラッとおごる事ができれば大人の男性としてスマートなのかもしれないが、今までそのようなスキルを磨いてこなかった。

軽々しくおごらないくせに、たかり体質の友人が他人におごってもらっているのを見聞きしたりすると、変な寂しさを感じる面があるのも厄介だ。

そんな自分をカモにしようと寄ってくる人間は稀なので、勧誘などが来ると非日常感がありスリルを感じてしまう。


話を戻すと、件のいとこの金貸してメールは年に3回ほどのペースで来るらしい。

妻はそのつど断っているのだが、めげずにお金の無心に定期連絡を寄越すいとこの心境はどのようなものなのだろうかと気にもなる。

なかなかの鉄のハートをお持ちのようだ。

本当に困っているのか?借りたお金は何に使うのか?親や旦那はこの事を知っているのか?などなど、疑問に思う事はたくさんあるが、実害はないし自分の直接の知り合いでもないので自分が出張ってアレコレ聞くのも筋違いかもしれない。

そもそも、たいして意味のない行動をするのも人間だ。

どうでもいいような嘘をついたりしたことは誰にでもあるだろう。

世の中には無利益でゴールも見えない行動に多大な労力を使ったり、果ては他人を巻き込んだりする、いわゆるトラブルメーカーと呼ばれる人間もいる。

常識の外にいる人間は話が通じないばかりか、ヘタに関わると取り返しのつかないような被害を被ることにもなるので、とりあえずは妻の話を聞くだけに留めて静観したいと思う。